喪失した記憶と忘れられない記憶を語る推理小説。
日本に住んでいる研究者のユン・ソリョンは、数年前の事故で記憶の一部を失った。ある日、彼女は一通の謎めいたメールを受け取る。それは事故の際に姿を消した、シャーロックというあだ名の友人からのものだった。ソリョンはソウルに戻り、シャーロックの担当医だったク・ヨンジョンとともに追跡に乗り出す。
二人が向き合わなければならないのは、国家権力やジェンダー暴力、ヘイトクライムの被害者たち。作家は、過去から現在まで続く暴力の系譜において、正常と異常を恣意的に選択し排除する社会システムがどのように作動してきたのかを追う。
【著者紹介】ハン・ジョンヒョン(한정현)。2015年 『東亜日報』 新春文芸で当選し小説を発表し始める。短編集『少女芸能人イ・ボナ』, 長編小説『ジュリアナ東京』がある。