「おばあさん、おばあさん、どこに行くの?」「学校に行くんだよ」ソンスンおばさんにとっては、村の学校に行く道さえも絵や物語になる。いつも見ていた田舎の空、種を蒔いたおばあさんだからこそ成長がわかる作物たち、仲むつまじく挨拶をする村の動物たち、道ばたの花や木々。「おばあさん、おばあさん、学校に行って何するの?」「話を書いて絵も描くんだよ」。日頃から花や木を描いていたソンスンさんに花の名前を尋ねると、人の良い笑顔で「わからない、名前もわからない、つくった人もわからない、ワカラナイハナ」とおっしゃった。
ソンスンさんが残した絵とワカラナイハナの話を、画家のイ・ユンナムさんと本の村ヘリの村長イ・デゴンさんが絵本につくりあげた。
【著者紹介】
著者、キム・ソンスン(김선순、1937~2019)。本の村ヘリにある学校に通い、字と絵を学んだ。ヘリの人たちと一緒に制作した本に『村の本、今日は学校に行く日』『概念語なく豊かに生きる方法』『草むしりに無関係なこと』『村、隠れた物語さがし』、単著の絵本『80歳、花』がある。
挿絵、イ・ユンナム(이육남)。絵かき。本の村ヘリにある学校の先生にも従事。ソンスンさんの絵に手を加えて、絵本として生まれ変わらせた。挿絵を手がけた本に『ピリリーバンバン』『うさぎさんとカメさん』『水宮歌』等がある。
編集 、イ・デゴン(이대건)。出版企画の編集者。ソウル市立大学で国語国文学を、高麗大学の大学院で映像文化学を学んだ。本の村ヘリの村長でもあり、誰とでも親しく本の話をしている。