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2024.12.13
イベントレポ: イ・スラ×ファン・ソヌ対談「人生は自分で選んでいい。風とおしのいい生き方の話」

依頼されていない随筆をメールで配信するプロジェクトから生まれた『日刊イ・スラ』に続き、初の小説『29歳、今日から私が家長です。』も邦訳出版したイ・スラさん。恋人でもただのルームメイトでもない独身女性二人の暮らしを綴ったエッセイ『女ふたり、暮らしています。』の作家ファン・ソヌさん。既存の枠組みに縛られない生き方を選んだ二人の対談は、イさんがファンさんをインタビューする形で進行しました。

お互いの近況や好きな日本人作家を語り合う

大きな歓声と拍手が起こる中、登壇した二人は仲の良い姉妹のように顔を見合わせながら、それぞれの近況を話しました。まずファン・ソヌさんが、2024年Appleの人気ポッドキャストに選ばれたことを話しました。イ・スラさんは今年邦訳出版された『29歳、今日から私が家長です。』( CCCメディアハウス)が韓国でドラマ化が決定し、朝から晩まで脚本を書いているそうです。

次に、エディターやインタビュアーとしての経験が作家生活にどのような影響を与えたのか尋ねられたファン・ソヌさんは、「雑誌のエディターになったのは、日本文化の影響が大きかったです。90年代のnon-noやananなどの雑誌は、世界に繋がる窓口でした。仕事の中では取材で人と会うのが好きで、最終的に文章を書き上げることは好きではありませんでした」と答えました。しかし、毎週、毎月多くの文章を書き続けたことによって、締め切りを守り、仕事を続けられる筋力と体力を身につけたそうです。

また、二人は強くあることを大事にしていて、ウェイトトレーニングも本格的にやっているとのこと。ファンさんは、「運動を通じて体力がアップすると精神力も高まっていくし、仕事にも粘り強く取り組めて、他人にも寛大な心で接することができる」と語りました。

まわりにたくさんの後輩がいる中で、どのように気品ある「お姉さん美」を維持しているのかを聞かれたファン・ソヌさんはこう答えました。「オンニ(お姉さん)と呼ばれる機会が最も多いのは、ポッドキャストの視聴者からです。悩み相談をされるときは、よく耳を傾けて相手の話を聞くことです。誰かにつらいことを話すことができ、聞いてくれるだけで、その人は自ら答えを見つけ出す力を得ると思います」

イ・スラさんは、「日本文学の中でも慕っているお姉さん作家がいて、エッセイストの佐野洋子さん、漫画家の和山やまさんが好きです」と話し、ファンさんにも尋ねました。
ファン・ソヌさんは「米原万里さんが大好きで全作品を読みました。通訳者としての体験や国際的な経験を綴ったエッセイがとても面白いです」と答えました。
また、山田 詠美さんも大好きで、以前雑誌エディターとしてご自宅でインタビューをした時には、「大好きな作家に会えて本当にこの仕事をしてよかった」と思ったそうです。

「日本語の感想もすべて読んでいる」とイ・スラさん

ファン・ソヌさんから日本読者からのレビューや感想について聞かれたイ・スラさんは「SNS上のコメントすべてを翻訳して読んでいます。家族に対する愛憎とそれをユーモラスに表現したい心情は日韓で通じるとわかり、うれしかったです。そして清水知佐子さんの翻訳がいかに素晴らしいものであるかもわかりました。ありがとうございます」と言い、拍手が起こりました。

ファン・ソヌさんは、『女ふたり、暮らしています。』の最も記憶に残る読者の反応は、「この本を通じて救われた」という言葉だったそうです。「日常の何気ないエピソードを書いたつもりが広がっていき、そして波となる。誰かが自分として存在する自由に気付き、救いになったことにとても感動しました」と語りました。
さらに、「私たち二人の本の共通点は、世の中を変えていく革命的な質問を投げ、女性としての生き方や伝統的な役割を覆す問いをしていること。細やかな日常の物語が巨大なストーリーになって届くのではないか」とも話しました。

優しくて力強いお二人の話を聞いていると、新しい風が会場全体をふわっと包み、隅々まで吹き抜けるようでした。その風は正確にまっすぐ、心の奥に届いて、私も知らない窓がそっと開かれたようでした。これから二人の本をもっと読んで、お話をもっと聴きたい!早くドラマも見たい!と思う時間でした。
(レポート:チャン・ヨンス)

当日の様子は以下から視聴できます。

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李熙健韓日交流財団、(公財)一ツ橋綜合財団、
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永田金司税理士事務所、株式会社クオン