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2023.12.12
【イベントレポ】映像翻訳者が見てきた「韓流20周年」-国と国、言葉をこえて届けてきたもの―
映像翻訳者が見てきた「韓流20周年」

NHK BSで『冬のソナタ』の放送が開始され、韓流ブームに火がついたのは2003年のこと。あれから20年。韓流コンテンツは日本社会に大きく浸透し、コロナ禍においても多くの人々の心をわしづかみにしてきました。K-BOOKもまた劇中に登場した本の日本語版が10万部近いセールスを記録したり、原作を原書で楽しむファンが生まれたり……と、映像の世界と密接な関係にあり続けています。

韓流20年での大きな変化は配信サービスの登場

「韓流20周年」の節目に開催された「K-BOOKフェスティバル2023」の最初のトークイベントは、そんな韓流ブームの“影の立役者”である映像翻訳者の鷹野文子さん、戸田紗耶香さんを招き開催されました。
イベントは、まず韓流20年の歴史をおさらいすることからスタート。『韓流20周年メモリアルBOOK(辰巳出版、2023)』掲載のドラマ年表をもとに、人気作品の数々を振り返りました。

『冬のソナタ』が大ヒットした頃の韓日映像翻訳の世界は、現在のようにスクールを通じた教育プログラムなどが確立しておらず、いったん英日翻訳で字幕翻訳について学んでから、韓日に移行する人も少なくなかったようです。

映像翻訳者が見てきた「韓流20周年」イベントの様子

この20年の大きな変化は、配信サービスの登場です。コロナ禍で『愛の不時着(2019-2020、tvN)』や『梨泰院クラス(2020、JTBC)』が大ヒットしたことは記憶に新しいですが、鷹野さんはそうしたドラマを視聴するときも「字幕ばかり気にしてしまいます」と言います。戸田さんも大きく頷き「常に良い訳の引き出しを増やすべく、集中して韓国語を聞きながら、字幕も集中して見ています。韓流ドラマファンの方々とは見ているポイントが違うかも」と、映像翻訳のプロフェッショナルらしい一面を明かしてくれました。

配信サービスの登場で、映像翻訳者の働き方も変容したそうです。配信サービスでは韓国で放送された後、ほぼ間髪あけずに数時間で字幕版が配信されることも珍しくありません。「本当に納期が短くなりました」と鷹野さん。DVD時代と異なり、作品の最終回を見てから翻訳できないことも多いため「作品のキーワードになりそうなことは、なるべく原語に添って訳しています。言い換えてしまうと、それがどう発展するかわからないので……」と教えてくれました。

翻訳家を目指す人へのメッセージ

イベントの後半では「翻訳」にフォーカスし、日韓の言葉の変遷について紹介。韓国文化が日本に広く浸透した今、サムギョプサル、ヤンニョムチキン、トッポッキなど、韓国語をそのままカタカナ表記で使えるようになった単語が数多くなりました。以前なら少し無理をして日本語訳をつけるしかなかったこれらの言葉ですが、「今では字幕を読んだ皆さんが、同じようなものを思い浮かべてくれるのがうれしい」と戸田さんは喜びます。

これから翻訳者を目指す人へのアドバイスとして、戸田さんは「大前提としてまず韓国語を頑張ってください。そして文芸の翻訳であれ、映像の翻訳であれ、日本語の文才が求められます。そこは意識的に韓国語と同じぐらい磨くといいんじゃないかな」と話しました。

鷹野さんは「翻訳は重労働で孤独で寂しいもの。同じことを話せる仲間がいたから、乗り越えられました。仲間をつくって励まし合いながらやるといいと思います」とメッセージを送ってくれました。

韓流コンテンツは一過性のブームという枠をこえ、まさに日本社会における「定番」と化したといっても過言ではありません。1秒4文字など多く制約のある字幕ルールの困難をのりこえ、日本の韓流ドラマファンに映像翻訳者として届け続けてくれたお二人。国境をこえ、言葉の壁をこえ、時代の壁をこえ――普段、表舞台には出ないけれど偉大な功労者である映像翻訳者の20年に、ぜひ大きな拍手を!
(レポート:音野阿梨沙)

本イベントは、「韓流20周年運営委員会」様のご協力の元、実施されました。
⇒ https://hanryu20.jp/

 

当日の動画は以下のリンクから視聴できます

お知らせ⼀覧

共 催:⼀般社団法⼈ K-BOOK振興会、韓国国際交流財団
主管:K-BOOKフェスティバル実⾏委員会
後援:⼀般財団法⼈ ⽇本児童教育振興財団、
韓国⽂学翻訳院、韓国出版文化産業振興院、
駐日韓国大使館 韓国文化院、李熙健韓日交流財団、
アモーレパシフィック財団、韓流 20 周年運営委員会、
永田金司税理士事務所、ソウル市場、
株式会社国際エキスプレス、株式会社クオン