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2021.12.03
イベントレポ:日韓文芸誌編集者対談: 『Littor』と『文藝』を語る

2021年はオンライン開催となった、K-BOOK振興会主催の日韓出版人交流プログラム。日韓出版人の11月21日(日)に最終回となる第6回「日韓文芸誌編集者対談: 『Littor』と『文藝』を語る」が「フェスティバル2021 in Japan」の公式プログラムの一つとしても開催された。

登壇したのは、『Littor』元・編集長ソ・ヒョインさんと、『文藝』現・編集長の坂上陽子さん(河出書房新社)。

ソさんは読者が読みたくなる文芸誌を目指し、K-POP歌手に原稿を依頼したり、デザインをポップにしたりするなど、これまでなかった新たな試みを実現させてきた。坂上さんは「マーケティングはせず自分たちが面白いものを楽しく作る」編集方針で、2019年夏に刊行した「韓国・フェミニズム・日本」特集が大きな反響を呼び、文芸誌としては超異例の重版に。

そんなおふたりが日韓の文学事情や文芸誌の作り方について、1時間半にわたって質問や意見を交わした。特集を企画する方法(坂上さん「編集部での雑談」)や、ウケなかった特集(ソさん「恋愛小説やボディテクノロジー」坂上さん「もふもふ」)など、本好きには大変興味深い話題ばかりの贅沢な時間だったが、なかでも印象的だったやりとりをいくつかご紹介したい。

面白かったのは、日本と韓国における詩の受けとめられ方の違い。韓国の出版社は詩集シリーズのブランドを持っていないと一流とはみなされず、文芸誌でも詩は小説と同程度のボリュームを占めているという。若い詩人の詩集でも何十万部と売れることが珍しくないのだとか。

一方日本では、最も売れている最果タヒさんでも1〜2万部いくと異例とされるとのこと。ただ「昔から日本には短歌という文化があり、最近若い人の間でとても人気があるので、また詩をめぐる状況にも変化があるかもしれない」と坂上さん。

「次の世代にどう文学を伝えていくか?」という坂上の質問に対する、ソさんの答えもとても興味深かった。

韓国ではウェブトゥーンや小説を読めるアプリなどが普及しており、人々が文字を読まなくなっているわけではない。「読者の信頼を得られれば自社の出版物を読んでもらえる」という考えのもと、いくつかの大手出版社は会員制の読者クラブを運営しており、出版前の新刊のモニタリングやイベントへの紹介といったサービス提供を通じ、ファンを育てる試みがすでに行われていることを紹介してくださった。

ソさん自身も紙面にこだわる必要はないと考えており、このたび自ら立ち上げた出版社で、読者とコミュニケーションを取れるネット上の空間を作ろうと構想中だという。

また、「国内だけではなく、海外にも日本文学の読者を広げていきたい」と話す坂上さんにソさんも同意し、「韓国では(国内市場だけではやっていけないという)危機感にもうちょっと早いタイミングで直面し、音楽や映画がそうした試みを先行して成果が出つつある。韓国文学も世界で読まれるようにしていきたい」と続けた。

ソさんと坂上さんが今後も読者に届けてくださるだろう文芸誌や書籍を、これからも楽しみにしたい。

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(レポート:森川裕美)

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後援:一般財団法人日本児童教育振興財団、
韓国文学翻訳院、株式会社クオン