今年の「K-BOOKフェスティバル」には北は札幌、南は沖縄まで全国の書店が「ポップアップストア」として参加。各出版社おすすめのK-BOOKを並べてお祭りを盛り上げました。今回はその中から8ヵ所のお店がオンラインで集まり「つながる、語る―ポップアップストアツアー」を開催!各店でのK-BOOKの売れ方や、オススメしたい本を語り合いました。
昨年は13店舗だったポップアップストア。今年はその数を3倍以上増やし、51店舗に!
その中からまずツアーに登場したのは、韓国書籍を専門に扱う東京の「チェッコリ」。店舗入り口付近には邦訳刊行予定の原書がずらりと並び、日本の書店でももうすぐこの本たちに出会えるなんて!と胸が躍らせながらツアーをスタートしました。
登壇したのは神奈川「湘南 蔦屋書店」の八木寧子さん、大阪「toi books」の磯上竜也さん、京都「CAVA BOOKS」の宮迫憲彦さん、香川「本屋ルヌガンガ」の中村勇亮さん、福岡「本のあるところ ajiro」の坂脇由里絵さん、沖縄「くじらブックス」の渡慶次美帆さん。
後半は、奈良を拠点とする本屋ユニット「itoito」の横さんの進行で、K-BOOKにまつわる座談会を行いました。
zoomを介して各地の書店を一度に巡るのも、こんな時代ならではの楽しみ方。どのお店も個性が光ります。
「CAVA BOOKS」は京都の小さな商店街にある地元密着型の店。本屋+カフェ+映画館という珍しい空間で、韓国映画を観たあと韓国小説を買って帰るという羨ましい一日を過ごすお客さんもいるそう。「本のあるところ ajiro」はK-BOOKを多く刊行する出版社「書肆侃侃房」が運営する書店兼ブックカフェ。同社の本ならば購入せずにゆっくり読むことができると紹介してくれました。
座談会では、「ハードルが高い」と言われがちな海外文学の中で、K-BOOKは手にとってもらいやすいという話題に。
「装丁の綺麗さもあり、読んだことのない人からおすすめを聞かれることも。普段海外の作家の本を読まない人が積極的に手にとっている印象」(磯上さん)との声に共感が集まりました。韓国の音楽や映画、ドラマが身近になったことで文学の敷居も低くなり、「海外文学への入り口」になっているようです。中村さんは「翻訳者の名前で本を選ぶ人もいる。書店員もナビゲーターとなって読者への届け方を広げたい」と語りました。
K-BOOKを扱ったきっかけにも話が及びました。渡慶次さんは開店時期が『82年生まれ、キム・ジヨン』(筑摩書房)やフェミニズムに関する韓国書籍が注目された頃。読むと働き方や生き方を模索していた自身にも響き、「こういう本が読みたかったと思えるものが多く、K-BOOKが自然と集まっていた」といいます。
”キム・ジヨン”の話題性は書店にも大きな影響を与えたようで、「湘南蔦屋書店」の八木さんは「キム・ジヨン登場前の韓国文学は欧米文学に比べて小規模だったが、今は問い合わせも多い。大手出版社の翻訳書も増え、手応えを感じるようになった」と振り返りました。
最後に、書店員さんがオススメしてくれたK-BOOKもご紹介します!
toi books:『ディディの傘』(ファン・ジョンウン著、斎藤真理子訳)
CAVA BOOKS:『生命の詩人・尹東柱 『空と風と星と詩』誕生の秘蹟』(多胡吉郎著)
https://kbookfes.official.ec/items/34887008
本屋ルヌガンガ:『きらめく拍手の音 手で話す人々とともに生きる』(イギル・ボラ著、矢澤浩子訳)
https://kbookfes.official.ec/items/34887091
湘南蔦屋書店:『言の葉の森』(チョン・スユン著、吉川凪訳)『すべての、白いものたちの』(ハン・ガン著、斎藤真理子訳)
https://kbookfes.official.ec/items/54945293
https://kbookfes.official.ec/items/34887012
本のあるところ ajiro:『私のおばあちゃんへ』(ユン・ソンヒ、ペク・スリン、カン・ファギル、ソン・ボミ、チェ・ウンミ、ソンウォンピョン著、橋本智保訳)
https://kbookfes.official.ec/items/54594097
くじらブックス:『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』(イ・ミンギョン著、すんみ、小山内 園子訳)『失われた賃金を求めて』(イ・ミンギョン著、小山内 園子、すんみ訳)『女の子だから、男の子だからをなくす本』(ユン・ウンジュ著、イ・ヘジョン絵、ソ・ハンソル監修、すんみ訳)
https://kbookfes.official.ec/items/54594052
itoito:『そっと静かに』(ハン・ガン著、古川綾子訳)
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(レポーター:澤田今日子)