韓方や医療観光で有名な韓国第3の都市、大邱市。中でも寿城区は教育や文化、芸術の街として知られ、同市で図書館が一番多い区でもあるそうです。その寿城区庁観光課のスンさんが同区の魅力を紹介してくれました。
地域の出版物や読書文化を広く共有するため毎年「韓国地域図書展」が各地で開かれていますが、今年は10月16~18日、大邱でオンラインを中心に開催されました。開幕式や「大邱・嶺南出版文化の蚕室」特別展の様子などが映像で紹介されました。
開幕式の会場となった寿城池は、1920年代に水崎林太郎という日本人によって造られた人工池です。開拓農民として朝鮮に渡った彼は干ばつに直面し、農業用貯水池の必要性を痛感します。慶尚北道知事や朝鮮総督府に出向いて直談判し、地域の人々と協力してついに貯水池を完成させます。終戦後、家族は日本に引き揚げましたが林太郎は帰国せず、亡くなるまで池の近くで暮らしたそうです。池がよく見える場所に韓国式の墓を造ってほしいという遺言どおり、友人たちは墓を造って代々守ってきたそうで、映像では実際の墓も映っていました。
この寿城池は現在、憩いの場として人々に親しまれていますが、この池をテーマとした『수성못』(寿城池)という絵本があります。池の近くに住む小学生の女の子が池の歴史を学んでいく物語で、大邱の出版社が出版しました。
大邱がテーマの本としては『모명재』(慕明斎)という童話もあります。のちに朝鮮に帰化した明(みん)の将軍・杜師忠と朝鮮の将軍・李舜臣との友情や、子孫たちが杜師忠を称えるために朝鮮時代に建てた斎室「慕明斎」の話が描かれています。日本語通訳のミンミンさんが、今も同区に残る慕明斎の前で紹介してくれました。
そのほか、寿城区が運営する「慕明斎韓国伝統文化体験館」では、韓服での茶道・瞑想体験や、東医宝鑑をもとにした薬膳料理が体験できるそうです。
最後はスンさんとミンミンさんが絵本『寿城池』に登場するアヒルのボートに乗り、自由に往来できるようになったらぜひ遊びに来てくださいと呼びかけていました。
(レポーター:牧野美加)
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