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2020.12.02
イベントレポ:韓流MCの古家正亨さんが語る「K-POPとK-BOOK」

『K-BOOKフェスティバル2020』のプログラムを幕開けたのは、韓流MC・古家正亨さんと、クオン代表の金承福さんによるトークショーでした。2013年から親交があるというお二人ですが、現在ほど韓国文学が日本の読者に浸透していなかった当時から「これから絶対に文学の韓流がくる」と金さんがお話ししていたことを振り返った古家さん。「今回『K-POPとK-BOOK』というテーマについてお話ししようと思ったのは、今の日本における韓国文学の人気に大きな影響を与える役割を果たしているのがK-POPだと感じているからなんです」という古家さんの言葉に、金さんも「それは同感ですね」と頷きました。

まず、BTSのメンバー・ジョングクが読んでいたことで話題となり、日本でも45万部を売り上げたエッセイ『私は私のままで生きることにした』を例に挙げ「まさにこの本のように、K-POPアイドルが紹介したことによって話題となった作品が多いんです」と話したお二人。後ろの本棚に並んだ話題作を指して「売れてるものだけを集めました」という金さんの突っ込んだ一言に、古家さんも思わず爆笑する和やかなムードで対談は進みました。
韓国に在住中からよく書店に足を運んでいたという古家さんいわく、ここ数年で本を手に取る韓国の若者が増えた印象があるそうで、これに対し金さんが「手に取りたくなる、インスタ映えもする、自分のものにしたくなる装丁の本が増えてきたということがあると思います」と答えると、古家さんは「確かに、最近では本と一緒に写るK-POPアイドルのSNS投稿が目立ちます」と語りました。

また古家さんによると、ファッションアイテムとして捉えるだけでなく読書を通じて学びを得ているアイドルもいるといいます。芸能人として周りに悩みを打ち明けづらい立場にいる彼らは、本の中から人生の教訓を得ることが多いようで、これを聞いた金さんは『死にたいけどトッポッキは食べたい』『あやうく一生懸命生きるところだった』といった作品が特に若い層から人気がある現状は、アイドルだけではなく多くの若い人たちが生きる上での悩みを抱えていることを物語っているのではないかという見解を示しました。

作曲や作詞を手がけるアイドルからは、創作活動のためボキャブラリーや知識を身に付けようと読書に励んでいるという声もよく聞かれるそうで、「本をよく読むアイドルは、インタビューなどの発言にも読書体験が表れているように感じます」と語った古家さんは、そんな彼らの姿を通じ改めて本を読むことの大切さを実感するといいます。
好きなアイドルに触発され読書するようになったファンも多いという金さんが「韓国の本を読む層も若くなりました。“韓国文学きっかけで本を読むようになった”という読者が増えています」と話すと、古家さんは「そういうファンの声が広がったことも、今これだけ日本の若い人のなかで韓国文学が定着したことに繋がっているんですよね」と語り、「僕は、日本の若い人たちに文字文化の良さを知ってもらうきっかけを作ってくれているアイドルたちに感謝しているんです」とK-POPとK-BOOKの相関性がもたらす好ましい影響を見出だしました。

また終盤には、気になっていたことがあると切り出した古家さんが「最近、韓国ドラマを見ていると本がよく登場するのは何故なんでしょうか」と問いかける場面も。これに金さんが「あれは、PPL(プロダクトプレイスメント)という間接広告です。食べ物や飲み物と同じように本も一つの商品として宣伝されています。最近では、本のPPLを専門としたエージェント会社もあるんですよ」と答えると、K-POP以外にも思わぬところに韓国文学ブームのきっかけが隠されていることへ感慨深い様子をみせた古家さんが「うまく社会の流れが噛み合って、いい形で文化の拡がりが生まれてきているのかなと思います」と話しました。日本で開催されるK-POPアイドルのイベントには今や欠かせない存在である古家さんと、韓国文学と日本の読者の架け橋となっている金さんのお二人によるクロストークは、ジャンルを越えてお互いに影響し合う韓国文化の興味深さが改めて実感される機会となりました。
(レポーター:菅原史稀)

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株式会社クオン、永田金司税理士事務所