学習書CDや検定試験の音声、NHK国際ニュースなどで癒しのアナウンスを聞かせてくださるイム・チュヒさん。そのお声を聞いたことのない学習者はいないでしょう。進行はHANAのとんそく子さん。「チュヒオンニ」「とんちゃん」と呼び合うお二人は息もピッタリ。視聴者もリラックスしてなごみます。
冒頭、韓国語で朗読の考え方を話してくださいました。きれいなもの、可愛いものに出逢ったとき自然に浮かぶ微笑、文章との出逢いも同様で、その作品の感情をともにすること。嬉しい文は口角を上げて微笑んで、悲しい文は泣いてもいい。そんな美しい朗読のための具体的なコツは4つ。
①全体の内容を把握し、書いた人の思いをキャッチする。日本語の文章を読むときと同じで、何度も繰り返し読み自分のものにする。チュヒさんは暗記するくらい読むそうです。
②息継ぎ、切って読む場所にチェックを入れる。切る場所は日本語と同じ。自分はこう読みたい、という思いでたくさん細かくチェックを入れる。
③口を大きく開けて、大きい声で文字を吟味しながら読む。自分の声を自分の耳で確認する。日本語のように口をもぐもぐしていては韓国語はできない。鏡を見て大げさに。
④作者の思いを感じながら朗読する。チュヒさんは感情が入りすぎで泣いてしまうこともあるそうです。本番の1回ですべて出し切るために、打合せは内容確認だけにするとのこと。
次に정채봉(チョン・チェボン)の詩「쌍둥이(双子)」を朗読。平易な言葉で深い内容の素敵な詩です。そしてイム・チュヒさんの手書きチェックを大公開。テキストにいろんな印がついています。上向き矢印、横向き矢印、小さい三角、ブレス、などなど。少し上げる、つなげる、一文字ずつ思いを込める、ポーズを入れる、などを意味するそうです。イム・チュヒさんがとくに強調されたのは長音と短音を区別することでした。長音をしっかり意識して朗読すると落ち着いた感じでかっこいいんだそうです。사랑(愛)は短音、사람(人)둘(ふたつ)は長音であること、また長音・短音の別は辞書に載っていることに初めて気づいた方も多いでしょう。
説明を聞いた後は、チュヒさんの後について視聴中のみなさんも朗読しました。長めの文は最後の部分から少しずつ前につなげていく、という練習方法になるほどです。ひとつひとつの音を丁寧に吟味して発音すること、口の形を大げさに練習することを繰り返し強調されました。視聴者の質問、를の発音のコツには「たしかに」「わかりやすい」とすぐに反応が上がり、チャットも盛り上がりました。これから少しでも美しい朗読に近づけそうです。
(レポーター:東峰直子)
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